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2014年1月22日水曜日

あがっても弾ける

あがっても弾けるのはあがっても弾けるテクニックが必要ですと書きましたが、それってなんですか?というご質問をいただきました。


横山幸雄さんのレッスンでは「緊張しちゃって、、」と言うと音大生でも「テクニック不足ですね」とやさしく言われるそうです。あがって弾けないのは、集中力の問題もありますが、それ以前に、頭を使わなくても指が動くところまでいってない、指がコントロール出来ていないという、テクニック不足が大きな原因のようです。

大人の方は、理解力がありすぎて、頭でピアノを弾いてしまいます。
理屈で難しい楽譜を読めてしまうので、それを弾けたと勘違いしているのです。本当は指や体やそれを繋ぐ脳の回路が追いついていなくて弾けていないのです。だから、本番で頭が真っ白になると、体が覚えていない事は出来なくなるのです。

ではそのテクニックはどうやって付けるかと言うと、先日、角先生のコンサートでも言って下さっていましたが、何よりまずは『指に意識を向ける』こと。意識する、というのは、目で見てソの鍵盤を押すのではなく、鍵盤を見ずに、今自分の4番の指はソの音を弾いている、と指の感覚でわかる事、そしてそれを耳で聴く事です。
「4と5のへんのここらへんが弾けない」ではなく、「4が遅れて5が少し早く入っちゃう」「4が少し弱くなって5はそれよりまた少し弱くなっている」まで聴き取ることです。ここまでわかるよう指に意識を向ける。耳をすます。

「そんな事してたらいつまでたっても曲にならない!」その通りです。だから弾けないのです。いつもフィギュアのたとえで恐縮ですが、フィギュアならプロのプログラムを「ちょっと素人なんですが」と言ってまねして滑ったり出来ないですよね?
でもたいていの方が、ピアノは譜読みが出来る=弾ける、と思ってそれをやっているのです。だから悔しくなるのです。ヴァイオリンだったら音が作れないので、弾けてない事がわかりやすいのですが、、。

それを克服したければ1万時間(出た)やるか、それが出来ないなら、ここが重要です。あきらめる事です。
 
 1、本番で練習通りに弾ける事を。

 2、弾きたい曲を弾く事を。

 3、弾きたいように弾ける事を。

 4、本番で震えちゃう事を。

 5、本番後落ち込む事を。


プロじゃないんだから、これくらいあきらめないと。
特に、5番目は大事です。失敗して落ち込んでも『そりゃそうだ』と思える強さと気楽さです。

こう言いつつそれでもあきらめきれない方は、とりあえず、自分には簡単過ぎると思っている曲を、人前で弾いて行くといいと思います。それでも震えたらもっと簡単な曲。震えても弾けたらそこからすこしづつ難しくして行く。メトロノームの針を1つずつ下げるように。

あきらめるという言葉を使いましたが、正しくは受け入れることです。受け入れない事には堂々巡りです。言っておきますが、ピアノがらくらく弾けるのは才能です。才能のない並の人間にそれは出来ないことなんです。うちの会では偽装せずピアノは難しいと真実を正直に堂々と謳っています。
でも天才は天才で大変だと思いますよ、天才に生まれてないんでわかりませんけど。
そんなことより、天才じゃないのに音楽を奏でられる楽しみを知っているって、私たち、天才以上にいい人生送ってます。そこそこであきらめていいなんて、天才に知れたら羨ましがられちゃいます。






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