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2016年2月17日水曜日

大人がピアノをやめる理由

ピアノをはじめて7年目の大人の生徒さんが「いつまでたってもこの程度じゃやってる意味がないので」とおやめになりました。残念です。

7年くらいやったらショパンやモーツアルトが弾けるようになる、という前提がご自身の中におありだったのでしょうね。真剣に勉強すれば1、2年で資格が取れちゃうものもある世の中、それに比べるとピアノはいつまでも初級。やめたくなる気持ちはわかります。

大人の方がピアノを習うと必ず通るのがこの「上手にならないからやめようかな」という道です。


大人がピアノを初めて習うとき、心に留めておくべきことがあります。
触れば音が出る簡単そうなピアノ。でもピアノは簡単じゃないのです。
小さい時からピアノをやっているのはそれだけ時間が必要な楽器だから。
もし7、8年で好きな曲が弾けるなら遊びたい盛りの子供時代からやっていません。
かと言って「子供のうちからやっとけば弾けたのに、、、」と後悔するのも違います。ピアノという地道で頭を使う習い事は、大人より子供にとっての方が、苦労する全然楽しくない習い事なのです。そして子供のうちからやっても個人差は当然ありますし、子供のうちに習い始めた子の9割以上が小学校でやめてしまう習い事でもあるのです。

指が少し動くようになって、両手も使えるようになって、その位の時が一番楽しくて、その頃はもうそのままずっと右肩上がりで色々な曲が弾けるようになっていく気持ちになります。
ですが。
そのまま上達し続けると思うのは幻想です。夢です。
それは長くは続きません。何より楽譜がどんどん複雑になって、弾く前に弾く気がしなくなります。知らない国の言語のようです。

でも芸事ってみんなそうですよね。
簡単そうに見えて何十年も日々努力して芸を身に付けている。
それを含めての奥の深さが芸術です。
奥深い芸術はそんなに甘いもんじゃない。
そう思った方がいいです。

そんな深いものに触れられる。触れて感動する。上手じゃなくても、憧れの曲は弾けなくても。
私はそのことに学ぶ価値があると思っています。
小学校のときに6年間やった子供の方がもしかしたら技術は身に付いているかもしれない、でも「やりたい」「芸術って素敵」と思う気持ちこそが宝なのです。

上手だから続けるのなら簡単です。
「ピアノが全然上手にならない」というマス目に着いちゃったら「それでも続ける」を選択して下さい。何度でも。その先の未来は新しい景色です。





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