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2014年9月12日金曜日

ピアノと歌

幼稚園のお子さんがピアノの体験レッスンにみえました。

お母様はご自身の経験から、幼児期は歌が大事な気がするのですが、、、とおっしゃっていたので「正しいです!」と答えました。ピアノは幼児期に限らず「うた」です。


「なぜですか?」という問いがあること自体本当は不思議なことです。
なぜなら音楽とはうたのことだから。うたを楽器でうたう、それが楽器を奏でることだからです。

そのお母様は「何となくそう思っているんですが、歌で何が違ってきますか?」と続けられました。


ピアノはとてもメカニックな楽器なので、右手左手バラバラの鍵盤を瞬時に弾きまくる、
右手4個の和音の時左手別の4個の和音を同時に押さえまくる、など高度な運動機能が必要です。またそれを理解する頭脳回線も作らないといけません。
これがあまりにも難しいのでここにすべてが集中し、それが目標となってしまうのです。
なのでそれが成功すればピアノが弾けたとなりがちなのです。

しかしここで音楽は完全に忘れられています。
これが成功しても音楽としての魅力はないんです。大道芸ですごいスピードでジャグリングが出来るっていうのはそこが魅力ですが、ピアノは目指すものが違います。仮にピアノで超絶技巧を目指したとしても、超絶技巧自体オリンピックに出るようなものですからほとんどの人にそれは出来ません。

私たちが一番ピアノに求めるものは、心が癒される、励まされる、楽しいということなのです。
音楽としてのピアノです。
当然なはずのことが、ピアノでは音楽が置き去りにされます。
ピアノとは物理的な作業が難しすぎるため一番音楽を忘れがちな楽器なのです。

だからあえて歌なのです。
右手左手と頭や指を鍛えている間に失われる歌心。
「音楽を奏でるためのピアノ」という当然のことをめざすために音楽の基本である歌を大切にしなくてはいけません。


幼児のときもその後もずっと、です。













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