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2013年9月22日日曜日

ピアノの聴き比べ


先日、上手な人の演奏になるとちゃんと弾けているので、いい演奏とそうでもない演奏のどこが違うかわからない、と聞かれました。

「いい演奏はクラッシックがわからない人にも響く」なんて言われると、益々プレッシャーですよね。響かない自分はおかしいのかって。


いつも引き合いに出す外国語ですが、音楽は外国語です。外国語でどんなに感動する話をされても内容はわかりません。けれど映画で泣いている俳優、笑っている俳優を見ると言葉がわからなくても感情が伝わります。これを俳優でなく一般の人がやったら、そんなに伝わらないっていうか、わざとらしくて涙が乾くっていうか、、。

俳優さんの中にはセリフは棒読みなのに、なんかいい、って人いますよね。伝わるってありますよね。なんでだろうって考えました。
セリフだから言葉は決まっていて、勝手に言葉は変えられない、けれどそのセリフの感情を心から理解していて、そのセリフを言わずにはいられない心境になっている。その心境で放たれた言葉は、セリフかもしれないけどセリフでない。

結局「演者が自分の言葉で言っているかどうか」が鍵の気がします。

手順としては、クラッシックは曲が複雑に出来ているので、まず何回も聞いてその曲を覚え(外国語の映画を見るのと一緒です)、そして演奏家ごとに比べる。いっぱいいっぱい聴き比べると、演奏者がどれだけ真摯にその曲の心境を理解しようとしているか、見えて来ます。通り一遍セリフだけ言ってる俳優あり、上辺だけ涙を流して悲しみを訴える俳優あり、悲しみをこらえる俳優あり、というように。音楽は見ることでなく聴くことなので、耳を澄ませて下さい。大きい身振りをつけるピアニストより、淡々と弾くピアニストの方がいいことってよくあります。

弾くのも練習ですが聴くのも練習です。

今日、「美味しいものを食べたことがない人は何が美味しいかわからない」という話を聞きました。美味しい音楽をいっぱい食べてください。



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