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2015年2月10日火曜日

あきらめるのは

あきらめるのは人生ではありません。

「あんなやり方」はあきらめないといけないかもしれない。でも「こんなやり方」があります。「みんながうらやむピアノが弾ける」人生でなく「自分なりに弾けて楽しい」そんな人生もあります。


八方ふさがりになるともう無理だからやめようと思う。でもそういうときって「ピアノが上手にスラスラ弾けている人生」を想定しているのです。それをあきらめられないからピアノをやめる。実はピアノをやめるのは「あんな人生」をあきらめきれないからではないでしょうか?

音楽を専門に学んだ人は「あんな人生」を謳歌していると思うのは間違いです。だって音楽を専門に学んだ人のほとんどが毎日何時間も練習しても弾きたい曲を思ったように弾けるようになっていないんです。そして皆が皆、全員と言っても良いくらい「あんな人生」をあきらめてきているのです。ほとんどの人間が凡人ですから。
でもそこでだいたいの人が「自分なりに続けて良かった。自分なりに弾けて楽しい」と思う。ずっと続けて「あんな人生」がすべてでない事がわかる。

すごい事が出来て「あんな人生」を送っている人は確かにいる。
でも凡人にはそんなの無理なんです。「あんな人生」はあきらめて「こんな人生」をどーんと引き受ける。するとそっちの方が自分には居心地がよくて合っていることに気づきます。

天才は別ですが、半端にさらっと弾いているピアノよりやっとでも簡単な曲でも丁寧に練習して弾いたピアノの方がずしっと心に届く経験ってありませんか?
私はシニアのピアノサークルを指導していて心底それを感じます。

「基礎が大事」と言っているのは決して難しい曲に挑戦して欲しいからではないのです。
「芸術って基礎を丁寧に突き詰める事なんだ」と知って欲しいからです。
それをきちんとやろうという気持ちが音楽を質の高いものにします。
そして人生を質の高いものにします。









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