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2016年6月21日火曜日

聴いてもらうために弾く

もし他人に自分のピアノを聴いてもらうとしたら。


ピアノを始めたきっかけは自分で楽しむためであって、ピアニストといえど最初から人に聴いてもらうためという方はまずいないでしょう。
練習してると聞かれてしまいますが、それは聞こえているだけで聴いてもらうのとは違います。
聴いてもらうとか考えただけで間違えるし、録音しようと思うと鍵盤の場所からもうわからなくなったり、子供と違って大人は色々あります。


しかし、ピアノを始めた方は全員「聴いてもらう」方が良いのです。
なぜなら「弾くこと」と「聴かせること」は別物だからです。
聴いてもらう前提がないピアノと、聴いてもらう前提のあるピアノでは、全く違う次元の練習が必要になります。

「どんな次元の差?」というとそれは人前で弾いてみればすぐにわかること。
その差を埋めるために、皆日々頑張っているのです。

緊張して恥をかいてやっとわかることがあります。
練習通りにいかなかった、というのは人前で聞いてもらうレベルには達していなかったということです。
「あがるから」弾けないのではありません。
一流のピアニストだって緊張してあがって震えている人はたくさんいます。
それを超えるために「人に聴かせるためのピアノ」を練習しているのです。
あがっても弾ける人はそれをしている人です。

中には、大した練習をしてなくて人前で弾ける人がいて「度胸がある人はいいな〜」と思ってしまいますが、基本的に度胸ではありません。ピアノの能力が高いのです。10の能力を持った人が5をやるのと、1の能力の人が5をやるのでは違います。私は1の能力の人なのでよくわかります。ここは残念ですが、どうにもなりません。

「ピアノの能力低いし趣味だし大変な思いしてレベルアップしなくて別にいい」という方はそれはそれでいいのです。
もともと皆自分で楽しむためにピアノを始めているのですから。
ただピアノを弾く人が肝に銘じて覚えておかないといけないのは、「一人で弾くのと人に聴いてもらうのとでは次元が違う」ということ。
時々発表会などで「あの曲は私もレッスンでやったわ、あそこがイマイチね」と批評する方がいますが、その日その場所そのピアノでそのお客さんでやることに意味があって家で弾くことはもう違う曲を弾いてるようなもんです。
自分のうちで自分の慣れたピアノでスラスラ弾けることは人前で弾けるとこととは全然関係ないことなのです。

人に聴いてもらうことを目標にすると自分の課題が見えてきます。
そして本番で失敗したら次にチャレンジする。
人は本当は他人の演奏なんて大して聴いていません。
大事なのは、たとえ3分だろうと人前で弾く経験。こんな贅沢な自己啓発はありません。

ピアノは人に聴かせることを前提に。
人に聴いてもらおう、それだけで練習の全てが変わり出します。












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