でも「弾くのが好き」な方はそんなに聴かなかったりするんです。
聴かずに弾く一方だと鎖国時代の日本人同士の英会話みたいな音楽になっちゃいます。
聞いたことありませんが。
音楽は耳です。
耳を鍛えるには外国語と同じ、生活の中に「本物の音」を浸透させることです。
英語も、本を読んだり単語を書いていても会話をしないと通じるようにはなりません。
会話は何かって言うと「聞いて、しゃべる」です。
しゃべるだけではダメなんです。聞かなきゃ間違った発音でしゃべっちゃいますから。
弾くだけのピアノは、正しいけど通じない英語のようなもの。
レッスンで先生が弾いてくれたのを覚えておくのもやっぱり耳なんです。
クラッシックを弾きたいなら生活の中でもクラッシックを聴く。耳に浸透させないと楽譜が読めても指が動いても、「通じる」ようになりません。
生徒さんを見ていると「弾く練習だけ」のフシがなくはないんですね。弾く練習だから「ここはクレッシェンドだからだんだん大きくですね、ここはピアノだから弱くですね、アレグロだからメトロノーム120ですか?」と理屈で考えて弾いてしまう。
「クレッシェンド」という記号は、音になるものを表したたった一つの言葉に過ぎず、その楽譜のその場所には本当はものすごい量の情報が含まれているのです。言葉にできない音に込めた情報が。
そもそも演奏者が全員書いてあることだけで弾いていたらロボットの演奏になっちゃいます。
「聴いてもわからない」と思うのは聴く量が足りないのです。
たくさん聞いていると、なんかニュアンスがわかってきます。
口では言えないようなニュアンス。
この間「ここはピアニッシモだけど胡椒をピリって効かせて」と生徒さんにアドバイスしたらすぐにわかってくれて、本当にニュアンスでこんなに変わるんだ〜と思いました。
できたら生の演奏がいいです。
演奏家の呼吸や微妙なニュアンスが伝わるから。
電話より、スカイプより、実際に会うと伝わるものがあるのと一緒です。
とは言ってもなかなか生の演奏を聴くことは出来ないので、普段はCDでもなんでもいいと思います。
生活に音楽を浸透させることはピアノの上達には欠かせません。
0 件のコメント:
コメントを投稿