ページ

2016年6月2日木曜日

芸術とビジネス

芸術とビジネスは隣接していないといけない、と熊川哲也さんが言っていました。


芸術家も人間ですからまず必要なのはパンですね。
パンがないと芸術以前に生きていけませんから、要するに芸術家もお金が必要です。
しかし、職業として芸術をやっていくのは大変厳しいです。
なぜなら人は、肉体的飢餓は感じやすいけれど心の飢餓は感じにくいからです。心の栄養にはお金を出そうとあまり思わないものです。

となると芸術家は芸術をやるためにもまず他に職業を持って自分のパンを確保しないといけません。が、どんな職業でも簡単ではありませんから他に職業を持つと芸術の鍛錬に使う時間がなくなります。そうするとみんな、芸術家にならなくなり、芸術に触れる機会もなくなります。
つまりちゃんと芸術家という職業が成立しないと芸術そのものがなくなってしまうということです。

熊川さんの仰っていることは、そういう事だと思います。
芸術が人々に近づくには、人々が芸術に近づくには現代ではビジネスとして成り立つことが必要です。

バレエを観るということは、膨大な原価がかかっています。
「お金でバレエダンサーの命の時間を買う」ことです。
ひと公演の二時間ではなくて、バレエダンサーのバレエにかけてきた人生の時間。それを踊れるようになるまでのダンサーの時間のすべてです。それを買う人たちがいてこそバレエが公演として成り立つのです。

国が威信をかけてお金を注いで芸術を育てたから西洋音楽はここまで発展しました。
今の時代は国もパトロンも支援してくれません。
だからビジネスと結びつかないと発展できないのです。
芸術が存続するには対価としての報酬を支払う必要があります。
人に最低限必要なのはパンです。
でもパンのみにて生きるにあらず。
命を削って豊かさと潤いをあたえてくれるバレエダンサーや芸術家たち。


やる方はお金を払う価値のあるものをやる、観る方は満足の対価としてのお金を払う。
心の栄養のための芸術は、ビジネスと隣接していないと育たないと私も思います。









0 件のコメント: