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2015年9月29日火曜日

弾く気がなくなる

「色々弾けるようになるのが楽しみです!」と期待に胸を膨らませてピアノを始められる大人の方。でもその言葉を聞くと私は少し複雑になります。

そうおっしゃっていた方が何年か経ったとき「やっても弾けなくて」「練習する気がなくなってきて」「やっぱり子供の頃からずっとやってないと無理ですね」といったネガティヴ発言をたくさんするようになります。

期待が大きくまたグングン伸びていた方ほど、壁にぶつかった時理想と現実のギャップにがっかりしてしまうのです。最初から「認知症予防で」位の気持ちの方は「最初に比べたらこんなに弾けるようになっちゃったわ、やってるだけで予防になるし皆さんとも会えるし。楽しいわ〜」とポジティヴです。


人間、上達しないとやる気にならないのは当然です。
でも。そこも人間。いつまでも伸び続けるってことはないんです。人はいくつになっても成長するって言ったって、60歳になって身長が10センチ伸びる事はありません。それくらい無理なものは無理なんです。
これを受け入れられないと間違いなく弾く気がなくなります。

これは大人になって始めた方だけでなく、子供の時からもしくは音大に行ったというような方も同じです。人にはそれぞれ限界があるのです。そうすると上手にならないならもうこれ以上弾かなくていいや、、、となってしまう。


でも音楽は芸術です。
今弾ける曲をもっと美しく弾くことや聴いている人に伝える事やそれを分かち合う事、そしてあと10歩先じゃなくてあと0.5歩先に行けるよう頑張る事、本当はそんな究極の楽しみが沢山あるのです。

弾く気がなくなってしまった方は、本当の音楽の魅力に立ち返ってみて下さい。
ベートーヴェンやリストだけがピアノじゃありません。
グルリットやチャイコフスキーの小品などいい曲が沢山あります。
そういう曲を楽しんで下さい。

酷なようですが、能力や年齢には限界があると受け入れないと弾く気がしなくなるし、そうなるとピアノに限らず人生の楽しみが遠ざかってしまいます。















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