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2016年10月12日水曜日

一番きれいだったとき

最近若かりし日のことを思い返すことがありました。


茨木のり子さんの詩に「私が一番きれいだったとき」というのがあります。
人と比べて綺麗かそうじゃないかは別として自分の一番きれいなとき、今が自分の人生で自分が一番きれいだとはみんな思ってないんですよね。(あくまで自分の人生の中で、です)

それで「一番きれいだった頃、有効活用しなくてもったいなかったなあ」と思いました。が、有効活用ってなんだろうって考えたら特にしたいこともなかったことに気づき、ま、いっかとなりました。

今きれいだったらやりたいことはいろいろあるんですが、それは無理なので、その分筆をとって、茨木さんの詩のルオー爺さんのようにすごく美しい絵を描きたいなと思いました。



わたしが一番きれいだったとき
街々はがらがら崩れていって
とんでもないところから
青空なんかが見えたりした

わたしが一番きれいだったとき
まわりの人達がたくさん死んだ
工場で 海で 名もない島で
わたしはおしゃれのきっかけを落としてしまった

わたしが一番きれいだったとき
だれもやさしい贈り物を捧げてはくれなかった
男たちは挙手の礼しか知らなくて
きれいな眼差しだけを残し皆発っていった

わたしが一番きれいだったとき
わたしの頭はからっぽで
わたしの心はかたくなで
手足ばかりが栗色に光った

わたしが一番きれいだったとき
わたしの国は戦争で負けた
そんな馬鹿なことってあるものか
ブラウスの腕をまくり
卑屈な町をのし歩いた

わたしが一番きれいだったとき
ラジオからはジャズが溢れた
禁煙を破ったときのようにくらくらしながら
わたしは異国の甘い音楽をむさぼった

わたしが一番きれいだったとき
わたしはとてもふしあわせ
わたしはとてもとんちんかん
わたしはめっぽうさびしかった

だから決めた できれば長生きすることに
年とってから凄く美しい絵を描いた
フランスのルオー爺さんのようにね


       茨木のり子 「私が一番きれいだったとき」





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