ミスの数が少ない方が勝ち、という番組を見てましたが、気持ち悪くなって途中でみるのをやめました。
ピアニスト自身はそれが意味するところはわかっていて、ある種ゲーム感覚で、ある種仕事の一つとして、あるいは一つの勉強として、完全なるエンターテイメントとして、もしかしたら宣伝として、出演を引き受けて演奏してるのだと思いますが、それは彼らが専門的にやっているからわかっているのであって、見ている人たちに大きな誤解を生むと思います。
翌日のレッスンで子供が「凄かった」「やる気が出てきた」と言って楽しんでいたのを聞いてとても複雑になりました。
やる気が出たのはいいことだし、技術として本当にすごいことで賞賛されることではありますが、ピアノがそんな聴き方になるんじゃないかなと思って、思わず「間違えないのはすごいけど、それだけを目指しちゃいけないんだよ」と言いました。
ピアノを聴きに行くと「今日のは間違えすぎだよね」という間違いや「なんか可哀想になっちゃった」というような間違いもあります。これはプロならあってはならないことです。
それは別として、「間違えるけど、あんなピアノは弾けない」という演奏家もいます。年齢などの問題で超絶技巧はもうやらず、技術的にはそんなに難しくない曲を弾く演奏家もいます。
そういうピアノを味わうことが本当の音楽だと思います。
あれは、単なるゲームであってそれ以上でもそれ以下でもない。
芸能人のピアノ対決というのも例年行われますが、あれも芝居がかっていて好きではありません。上手だと思ったことはもちろん一度もありません。本当は上手な方かもしれませんが少なくともあの番組ではそうは感じません。
葉加瀬太郎さんが「勝ち負けでなくこれを聞けることが素晴らしい」みたいに付け加えてはいましたが、それを目的にしてない番組でのその言葉は上滑りしていました。
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